エネルギー・環境教育セミナー 報告書


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時:

平成26年11月20日(木) 14:00 〜 17:00

場  所: 福井商工会議所ビル 地下 コンベンションホール
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
公益財団法人 日本科学技術振興財団
後  援: 福井県教育委員会
福井市教育委員会
■エネルギー・環境教育実践事例発表

テーマ

伝統を継承し更なる進化・発展を「エネルギー環境教育」
発 表:

長岡京市立長岡第四小学校  教務主任 松尾 博史 氏

(要旨)

 長岡京市は、平安京の前の10年間だけ、長岡京という都があったところです。人口は約8万人で、大阪の繁華街に行くのに約30分、京都市に行くのに約20分という、大きな町に挟まれた小さな町の実践です。

1.本校のアピールポイント

1-1.伝統を継承し更なる進化・発展を 「エネルギー環境教育」

 本校は平成20年から22年までの3年間、エネルギー環境教育実践校として取り組みをしてきました。現在も、エネルギー環境教育は、総合的な学習の時間の中で柱として学習しています。

 これまでに、「地球温暖化防止全国ネット低炭素杯2014」の最優秀次世代賞など、輝かしい賞をたくさん頂きました。この受賞が、学校としての自信と研究の推進力になっています。

 昨年度から、京都府の「食に関する指導充実事業」の指定校となったため、エネルギー環境教育に70時間という総合的な学習の時間をいっぱいまで使うことが難しくなってきました。そうは言ってもエネルギー環境教育は外せないので、カリキュラムを再検討して、食育とエネルギー環境教育を2本の柱として取り組んでいます。

 また、エネルギーに親しみを持つためには、数多くの出前授業が必要です。子どもたちにどれぐらいの出前授業を経験させるか、各教科の中でどれだけエネルギーとの関連性を持たせて教えていくかが問題になってきます。

1-2.ことばの力を培う「エネルギー環境教育」

 総合的な学習の時間を充実させることで、安定した国語力(読み取る力と話す・聞く力)や活用力を確保できました。学力と総合的な学習の時間との関係は深く、難しい資料を読み込むことで読む力が、プレゼンテーションをすることで表現力が養われたのではないかと思います。

 下は低学年から、上はエネルギー業界の大人の方までいますので、プレゼンテーションでは、ポスターセッションや劇にして発表する児童、模型を作って発電方法を説明する児童など、受け側に合わせた分かりやすさを目指します。読み取る力がなければ、自分たちが理解したことを表現できません。そのあたりの力が、エネルギー環境教育を進めていくにつれて、子どもたちに付いてきたのではないかと思います。

 基本的に本校では、プレゼンをする側と受ける側が一つになって学習する形態を取っており、プレゼン側が問題提起をしたら、聞いている側はその内容についての質問や意見を言います。内容を抜きにした感想を言うのではなく、内容について話し合いをして、お互いに高めていきましょうというスタンスで進めています。

1-3.総合的な学習の時間を軸にしたカリキュラム

 本来、エネルギー環境教育には結構な時数を取っていたのですが、食育が入ってきたので、若干スマートにせざるを得なくなりました。各学年の総時数は、3年生が35時間、4年が40時間、5年生が70時間、6年生が40時間です。5年生は地産地消に関わることも学習するので、食育とエネルギー環境教育を絡めての70時間になります。6年生は、平成25年度までは70時間でしたが、食育の指定校になったため若干減っています。

 テーマ設定、探求、プレゼンテーション、振り返りという流れで学習していきます。

1-4.地域との連携

 本校の近くにあるサントリーの京都ビール工場から、ビールタンクを3基頂いて、雨水タンクとして活用しています。

 本校は栽培活動は非常に活発で、普通の学校よりもかなり大きな畑で、各学年、委員会、地域の方も一緒に混じって農作物を作っています。そのときに必要なのが水です。水道水を使うと水道代もばかにならないので、雨水タンクを設置して、雨水で栽培活動をしているということです。

1-5.関係機関との連携

  長岡京市環境経済部などの行政機関や民間の会社など、いろいろなところと連携しています。

 行政関係では、長岡京市役所だけではなく、以前は経済産業省近畿経済産業局の方にも来ていただいて、いろいろな話を受けました。本校では6年生が未来のエネルギーについて学習して、自分たちのアイデアを行政に訴え、行政の方からアドバイスをもらう機会を設けています。

 関西電力とも連携し、4年生が日本のエネルギーを学習する際に、基本的なことを教えていただいています。堺港発電所も見学させてもらい、大阪市立科学館にも行って、エネルギーのことについて勉強しています。

 大阪ガスとの連携では、5年生がエコ・クッキングで無駄なくエネルギーを使うことや、ゴミを出さないようにする方法を学ばせてもらいました。

 京都府地球温暖化防止推進センターとの連携もかなり深く、5年生が、二酸化炭素の排出を抑え、地産地消につながるフードマイレージの学習をしました。また、センターでは省エネチャレンジの取り組みを行っているのですが、少しでもエネルギーのことに意識が行くように、夏休みの宿題として全校児童に1週間、冷蔵庫を開け放しにしないとか、テレビを見るのを1時間減らすというようなエコチャレンジを課しています。

 関西電力の方には、毎年のように出前授業に来ていただいています。大阪ガスの方は、少ないエネルギーで無駄なく料理するエコ・クッキングの出前授業をしてくださいました。

 6年生のエネルギー環境教育は、二つの柱に分かれています。前半は海外のエネルギー事情です。京都教育大学の山下先生の出前授業で、世界のエネルギー事情をみんなが知り、それを導入にしながら学習を進めていきます。もう一つの柱は、未来のエネルギーです。未来のエネルギー社会がこのようになったらいいというところを深く追究していき、先ほど申し上げたように、その結果を行政に訴えていくということをしています。

2.具体的な学習・活動内容

2-1.地産地消の学校給食

 畑で出来上がった作物を給食の食材にしている学校もあるかと思いますが、本校は畑の面積が非常に広いので、たくさん作ることができます。夏野菜、冬野菜、果樹、例えば水菜やカボチャ、小松菜、千両ナス、里芋、サツマイモ、冬瓜、ニラなどいろいろなものを給食に使って、それを給食委員がお昼の放送で紹介し、地産地消を子どもたちに意識付けています。

 園芸委員会がその中心になっているのですが、各学年、地域の方を巻き込んで栽培しています。畑と給食室の間には運動場があるので、白菜を収穫したら一輪車やリヤカーに載せて給食室へ直行します。ですから、フードマイレージはゼロです。薬を使っていない無農薬栽培なので、虫が付いていたりしますが、給食調理員さんがきれいに洗って虫の付かない状態で食卓にのぼります。

2-2.3年生「昔の道具探検隊」

 3年生は、35時間は地域教材としてナスのことを勉強し、残りの35時間がエネルギー環境教育になります。その一環として、「昔の道具探検隊」と称して現在の電気製品と昔の道具を比べながら、昔の道具がエコで、現在でも十分活用できることを学習していきます。

2-3.4年生「リサーチ! エネルギーのひみつ

 4年生から本格的にエネルギー環境教育に入ります。もちろん総合的な学習の時間だけではなく、理科や社会科の電気の学習から入って、総合的な学習の時間へ発展していきます。関西電力や村田製作所、先ほどお話しした堺港発電所の見学等を行って、エネルギーを追究していきます。

2-4.5年生「地産地消とエネルギー問題」

 5年生では、地産地消を一つの柱として学習しています。その前に、食の安心・安全ということで、食品添加物や食品表示、食べ物と私たちの体について学習し、後半に地産地消の柱を絡めて学習していきます。このときに、地球温暖化防止推進センターの方に来ていただき、フードマイレージのことなどを教えてもらっています。

2-5.6年生「未来のエネルギー」

 6年生では毎年、行政の方に、「僕たちはこんなことを考えました。行政はどのように考えますか」と問うています。子どもたちが考えることなので、現実とかけ離れているものがありますが、学習の中では、なるべく現実を見るようにという形で指導しています。

 例えば、京都第二外環状道路に風力発電と太陽光発電を付けたらどうかという話や、浄化センターの水を川に戻す際に、水道管に小水力発電を設置してはどうか、今集めている生ゴミを利用してバイオマス発電をしたらどうかというような話を行政側に訴えかけていくのですが、経済上の理由でことごとく跳ね返されます。しかし、行政の方から、「そのアイデアはいいね。それならひょっとして」と言われると、子どもたちのモチベーションも上がるので、非常にいい取り組みだと思っています。

 市の広報誌やポスターを利用して、市民にエネルギーの意識を高めてもらってはどうかということも進言しています。「それは考えてもいいね」という言葉が返ってくると、子どもたちはとてもうれしそうにしています。

2-6.地域ではグリーンカーテン、学校ではグリーントンネル

 平成20年度から毎年のようにグリーンカーテンにチャレンジしていて、長岡京市女性の会からゴーヤやフウセンカズラ、アサガオなどの苗を頂いています。昨年度は生ゴミと交換で保護者や地域に苗を配布し、学校を起点に、校区でグリーンカーテンネットワークに取り組みました。コンポストを活用することによってゴミを減らして堆肥を作り、二酸化炭素の排出を防ぐという取り組みになっています。

3.本校の環境教育はやぎの“しろ”から

 本校では、「しろ」というやぎを飼っています。しろはアイドル的存在です。例えば、今は暗くなるのが早いので、校庭にやぎをつないでおくと、地域の方から「早くやぎを小屋の中に入れてあげて」と電話がかかってくるなど、常に意識してもらっています。

 やぎは雑草を食べてくれるので、除草作業の手間が省けます。ふんは肥料として畑の中に混ぜ込みます。当初は子どもたちが飼育していましたが、今は大きくなり過ぎたので職員が世話をしています。しろは、結構話題になって、テレビに取り上げてもらいました。

 しろは、今8歳です。人間で言えば50代中盤になります。20年ほど生きるといわれているので、本校はこれからもやぎのしろとともに、エネルギー環境教育も頑張っていきます。


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