エネルギー・環境教育セミナー 報告書


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時:

平成25年11月19日(火) 14:00 〜 17:00

場  所: 福井商工会議所ビル 地下コンベンションホール
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
公益財団法人 日本科学技術振興財団
後  援: 福井県教育委員会
特別協力: 福井市
福井市教育委員会
■ 総合講評
 

京都教育大学 教授 山下 宏文 氏

プロフィール

東京都の公立小学校教諭、京都教育大学教育学部助教授、等を経て2002年より現職。
専門分野は環境教育、社会科教育。日本エネルギー環境教育学会副会長、日本教材学会常任理事、他。
2003年より福井県環境・エネルギー懇話会の専門委員会である環境・エネルギー教育問題懇談会の座長。
(要旨)

 福井県環境エネルギー懇話会の環境エネルギー教育問題懇談会の座長をしている山下と言います。その立場から、本日のセミナーについてまとめをさせていただきます。

 放射線等に関する教育職員セミナー、第14回のエネルギー環境教育セミナーにご参加いただきまして、ありがとうございます。後半の講演が大変盛況でしたが、それに比べると前半の参加は少し少なかったかなという気もします。このセミナーも3回続けて放射線を扱ってまいりましたので、もう放射線についてはある程度分かっていると思われたのかもしれません。

 今日の内容を振り返ってみますと、前半は実験・実習とワークショップを通して放射線に対する理解の深化を図っていただきました。放射線についての実験・自習というと大体霧箱を使って自然放射線を見ることが行われてきましたが、最近では「別のものがないのか」という要望もあります。今日は別の形で放射線についての理解を深めていただくことを工夫していただきました。これは小学生でも使えるのかと思います。

 後半は、対象を一般の方にも広げた形で、JAXAの加藤理事様より、特に宇宙開発に関する極めて貴重な講演をしていただきました。

 これからのセミナーの在り方については、さらに考えていく必要があると思っています。エネルギー環境教育のセミナーで、なぜ放射線理解なのか。このあたりのことはきちんと捉えていく必要があります。理科の学習指導要領に放射線の扱いが入ったことも大きいと思いますが、理科の中での位置付けは、あくまでもエネルギー資源について学ぶ中で放射線についても触れることになっています。また、福島の事故がありましたので、いかにわれわれが放射線について知っていなかったのかが大きく取り上げられました。今日の石川先生のお話の中でも、風評被害についてかなり強調されていましたが、やはり「知らなかった」ということが一番大きな理由なのだろうと思います。

 これは私自身も同じです。ちょうど年間被ばく線量が20mSvということで大きく問題になった時期がありました。私も20mSvについてなかなか実感が持てませんでした。ちょうどその時期に家族が肺炎を起こして救急車で運ばれ、何やかんだでCTを2回、レントゲンを1回撮ることになりました。計算するとそれこそ20mSvぐらいの被ばくをすることになります。そのときに20mSvについてのイメージが持てました。ですから、放射線量について、イメージが持てるようにしておくことが大事だろうと思います。そして、石川先生からお話があったように、原子力発電所が事故を起こしたときに、放射線によってどういう影響があって、どういうことが起きたのかについてもきちんと見ていけるようにしないと、エネルギー環境教育として放射線を理解するには弱いと思います。

 もう一つ言えば、その放射線を学んでいく先には、結局エネルギー選択というところに行き着くということです。エネルギー環境のこれからの大きな到達点は、いかにわれわれがエネルギー選択をしていくに足りる、知識なり情報なりを持つかにかかっていると思います。そのエネルギー選択をしていく上で、原子力発電の問題は避けることができません。この教育を通して、エネルギーの選択はわれわれ国民がしていくのだという立場から教育をしていく必要があると思います。

 私たちが選択をすれば、その責任は生じます。国が勝手に決めたことだから自分たちには関係ないというのではまずいだろうと思います。放射線について学んでいくことも、エネルギー選択と結び付いていかければいけないのだろうと思います。そういう意味で、今日、石川先生からお話しいただいた、福島のいわき市の事故後の現状やジレンマのようなものは教育の教材として非常に貴重なものだったと思います。今日の記録は恐らく冊子として各学校に配られると思いますので、そこで確認をしていただければと思います。

 また、次年度も内容をいろいろと工夫して、魅力あるセミナーの開催をしていきたいと思います。今日ご参加の皆さまには、来年度もぜひご参加いただくことをお願いします。今日は長い間、ありがとうございました。

Copyright(c) The Society for Environment & Energy in Fukui Prefecture All Rights Reserved.