エネルギー・環境教育セミナー 報告書


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時: 平成24年11月20日(火) 14:00 〜 17:00
場  所: 福井商工会議所ビル 地下コンベンションホール他
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
後  援: 福井県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
公益財団法人 原子力安全研究協会
実験・実習

テーマ

「 みえる、はかる、わかる 放射線 」
身のまわりにある自然放射線の存在や放射線の性質を理解するため、霧箱作りや測定実験等について、準備段階からの実習に取り組む。
進 行:

公益財団法人 原子力安全研究協会

(要旨)

 それでは、一緒に実験をしていきます。本日は、「霧箱」で放射線が飛んだ跡を見る、簡易放射線測定器を使って放射線を測るという、二つの実験を行います

 はじめに、霧箱の原理を簡単に説明します。霧箱は放射線の飛跡を見るための道具で、飛行機が飛んだ後、上空で溶けきれなくなった水蒸気が飛行機雲になって見えるのと同じような原理です。アルコールの蒸気を箱の中に満たして、それを下からドライアイスで冷やすと、過飽和と呼ばれる、霧になる直前の状態になります。その中を放射線が通ると、そこにアルコールの蒸気が集まり、溶けきれなくなって白い筋になって見えます。

 放射線源としては、モナザイトを使います。自然放射線より少し高いぐらいの、非常に微量の放射線を出すものなので、どんどん飛ぶわけではありませんが、放射線が出る様子を見ることができます。

 次に霧箱の作成手順です。皆さんの机の上にある箱を開けていただくと、丸いシャーレが入っているので、それを取りだして中身を出してください。モナザイトは、なくさないように横によけてください。

 まず、スポンジテープをシャーレの内壁に張ります。それができたら、スポイトでエタノールをスポンジ全体に染み込ませ、中心にモナザイトを置いてふたを閉めます。

 では、始めてください。不明な点があれば、手を挙げてお知らせください。その間に、手の空いている方はドライアイスを取りに来てください。

○霧箱作成中

 エタノールを染み込ませたら、ふたを閉めてドライアイスの上に乗せて、小さいライトで横から照らしてみてください。部屋を暗くします。

○霧箱観察中

 お手元で見にくい方は、機械で見られる霧箱を用意していますので、そちらもご覧ください。機械で見える霧箱は、ドライアイス式とは異なり、下を常温、上を高温にすることで温度差を作り、過飽和状態を作っています。

○霧箱観察中

 今日の霧箱を、お子さんたちにも見せてあげると面白いかと思います。本日はエネルギー懇話会から皆さまに1セットずつお配りしていますが、授業で複数個使いたい方は、簡単にご報告いただければご用意できるシステムもありますので、私までお知らせください。

 作る場合は、透明の容器はコンビニエンスストアのサラダの入れ物などで代用できます。スポンジテープは、100円ショップで何メートルか売っているものです。線源としてよく使われるのは、マントルと呼ばれるランタンの芯です。これには放射性物質が塗られているので、切ったものを霧箱の真ん中に置いたり、注射器の中にガスをためて、そのガスを霧箱の中に入れるという方法もあります。あるいは、掃除機の先に洗濯ネットとティッシュペーパーを輪ゴムで固定し、10分ほど吸い込むと、空気中のちりに付着している放射性物質をティッシュペーパーに集めることができるので、それをちぎって霧箱の中に置く方法もあります。

 続いて、簡易放射線測定器を使った実験を行います。

 「はかるくん」と書いた測定器が机の上にあります。まず、右の赤いボタンを少し長めに押して、電源を入れてください。測定が始まるまで少し時間がありますので、少しお待ちいただきたいと思います。

 その間に簡単な原理を説明します。「はかるくん」の中には、ヨウ化セシウムという、放射線が入ると光る性質を持ったセンサーが入っています。それを電気信号に変えて放射線を測っています。ブザーというところを押すと、放射線が入るたびにピッピッという音がなりますので、そちらも試していただければと思います。

 「はかるくん」は、過去1分間の平均値を10秒ごとに換算して算出しているので、10秒ごとに数字が変わります。放射線は常に一定の量で出ているわけではありませんので、時間によって少し上下します。

 はじめに、自然放射線の存在を調べるために、何もない状態で測っていただきます。測定実験セットの中には放射線を出す試料が入っていますので、その影響を受けないように、セットをなるべく遠ざけておきます。今、10秒ごとに数字が変わっていると思うのですが、それを3回記録してその平均値を出してください。

○自然放射線の測定中

 放射線の測定をするときには、バックグラウンドと呼ばれる何もない状態での値をまず測らなければいけません。

 その値を記録したら、続いて試料を測定していただきます。プラスチックのケースの中に、船底塗料と呼ばれる試料があります。これに「はかるくん」の検出器の部分(「+」マークの部分)を密着させ、1分ほど待ってから、10秒ごとの値を3回測って平均します。ワークシート2ページ目の船底塗料の欄に記入をお願いします。

○試料測定中

 三つの「はかるくん」で測定する場合は、3方向から同時に船底塗料の測定をしてください。

○試料測定中

 船底塗料に近づけると、音の間隔がかなり変わってきたかと思いますので、そちらにも注目してください。

○試料測定中

 今は密着させて測っていますが、少し距離を離すとどうなるかという実験をします。目安で結構ですので10cmほど離し、1分ほど待ってから10秒ごとに3回測定して、その値をワークシートの3ページ目に記入してください。

○試料測定中(距離の実験)

10cm離した場合の数字を記録していただけましたでしょうか。距離を離すとどれぐらい変わるか、実際に見ていただけたと思います。

 続いて、遮へいの実験です。セットの中に入っている四角いブロックを船底塗料の周りに置いて、4方向のいずれかから遮へい材になるべく近づけて、ほぼ密着した状態で測定してください。鉛を置いた方の「はかるくん」は鉛、アクリルを置いた方の「はかるくん」はアクリルというように、材質の違いによる線量を測ることができますので、5ページ目に記録してください。1種類の測定が終わったら、違う材質の測定を行って、表を埋めていただきたいと思います。

○試料測定中(遮へいの実験)

 材質による数字の違いを記録していただけましたら、簡単に説明させていただきます。

 はじめに説明が抜けていたのですが、「はかるくん」ではガンマ線を測っています。密度が高くて厚いものほど放射線を通しにくいということで、ガンマ線はプラスチックや薄い金属だと通りやすいのですが、鉛のような金属や厚い鉄板は通りにくいです。皆さんに測定していただいた数字でも、鉛が一番低くなっているのではないかと思います。

 今日は、距離を離すとどうなるか、間にものを置くとどうなるかを測定していただきましたが、放射線から身を守るための3原則として、「距離」「時間」「遮へい」ということがよくいわれます。放射線物質や放射線の高い場所を見つけたときには、なるべく離れて、建物の中、できれば木造よりもコンクリートの建物の中に逃げると、自分が受ける放射線を低くすることができます。実際に福島県などでもこういったことがいわれていますので、こういったこととも関連させて、測定結果についてお話しいただければと思います。

 本日皆さんに使っていただいた「はかるくん」は、文部科学省の事業で、無料で貸し出しをしています。副読本の中にも問い合わせ先がありますし、インターネットで「はかるくん」で検索すると連絡先が見つかりますので、そちらで申し込んでいただくと、無料で借りることができます。そのときに、今日は使わなかったのですが、距離の実験に使うシートも一緒に借りることができます。

  これは購入すると大変高価なものなのですが、左手の机の上に放射線測定器をご紹介しています。細かい数字を測るのには向いていないのですが、例えば教室の中と校庭でどれぐらい数字が変わるかという測定には手に入りやすい測定器もありますので、お時間があればご覧ください。
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