バックナンバー 原子力・エネルギー人材に関する調査結果
 


  福井県では、今年度より原子力関連技術の活用による産業の活性化と県民の医療・福祉の向上等を図る「エネルギー研究開発拠点化計画」が推進されており、次代を担う人材の育成に大きな期待が寄せられているところであります。
  そこで、県内の大学等で原子力を学ぶ学生の意識を探り、今後の参考とする。

調査期間 平成17年7月12日から7月29日までの17日間
調査対象

福井大学大学院、福井工業大学で原子力を学ぶ学生74人
福井大学大学院(57人)、福井工業大(17人)         

回  収 52人 (回収率70.3%)

[調査の概要]
1. 県内で原子力を学ぶ学生のうち、福井県出身者は約3割
 

 原子力を学ぶ学生のうち、地元福井県の学生は31.4%で県外出身者が多い。
  地域的には、福井県出身者が最も多いが、次いで中部(29.4%)、関西(15.7%)、北陸(福井除く)(15.7%)となっている。

2.

原子力を学ぶきっかけは、エネルギー(原子力)への関心度から(63.5%)
エネルギーへの興味の度合いは、福井県出身者が8.8ポイント高い。

 

 原子力を学ぶきっかけは、「エネルギーに興味があったから」が、63.5%と最も高く、次いで「国の政策として必要」が26.9%、その他25%、「就職に有利」が15.4%となっている。
  学校別でみると、福井大学大学院では「エネルギーに興味があったから」が、66.7%と高く、次いで「国の政策として必要」25.6%となっているが、福井工業大学では、「エネルギーに興味があったから」が53.8%と高いが、次いで「就職に有利」30.8%となっており、学術研究を行なう大学院と将来の進路選択を目指す大学との差が見られた。

  また、出身地別でみると、エネルギーへの興味の度合いは、福井県出身者が他府県出身者と比べて8.8ポイント高くなっている。

3. 原子力に関し興味のある分野は、原子力発電分野では高度化・安全のための研究(48.1%)、放射線利用分野では、医学利用(48.1%)と高い。
 

 また、原子力発電分野で、福井大学大学院はプラントの設計から安全管理までのプラント関連分野での関心が高いが、福井工業大学では、プラント運転から廃棄物処理までの分野で関心が高くなっており、それぞれの学校の特色が発揮されている。
 原子力で興味のある分野は、「より高度化・安全のための研究開発」48.1%、「プラント安全管理」26.9%と原子力発電の根幹である「安全」に関した分野での関心度が高くなっている。
 学校別にみると、原子力発電分野では、両校とも「より高度化・安全のための研究開発」が最も関心が高くなっているが、福井大学大学院では、2番目は「プラントの安全管理」28.2%、次いで、「プラント設計」23.1%、「プラント機器製造」20.5%とプラント関連の研究開発・設計・製造などプラントの前段階の分野で興味をもたれている割合が高い。福井工業大学では、2番目が「プラント運転」38.5%、次いで「使用済み燃料再処理」30.8%、「放射性廃棄物処理処分」30.8%、「プラント保守」「プラント安全管理」が各23.1%と高くなっており、プラント運転後の分野で興味がもたれている。
 また、放射線利用分野では、福井大学大学院が「医学利用」が53.8%、「産業利用」が25.6%となっているが、福井工業大学では、「産業利用」が61.5%と高く、学校によって差(特徴)がみられた。

 学生が興味を持っている分野の学校の差

■原子力発電分野
  (福井大学大学院 )
  1位 「高度化・安全のための研究」 48.7% 
2位 「プラント安全管理」 28.2%
3位 「プラント設計」 23.1% 
4位 「プラント機器製造」 20.5%
  (福井工業大学 )
  1位 「高度化・安全のための研究」 46.2% 
  2位 「プラント運転」 38.5%
  3位 「使用済み燃料再処理」、「放射性廃棄物処理・処分」 各30.8%
  4位 「プラント保守」、「プラント安全管理」 各23.1%

■放射線利用分野
  (福井大学大学院 )
  1位 「医学利用」 53.8% 
  2位 「産業利用」 25.6%
  (福井工業大学 )
  1位 「産業利用」 61.5% 
  2位 「医学利用」、「農業利用」 各30.8%


4.

2012年の電気エネルギーの分担予測については、原子力が大きく貢献
原子力は31%→43.1%(アンケート平均値)

 

 現在、国において原子力政策大綱の策定中のなかでは、2030年の総発電量の30〜40%を原子力が担うとされているが、原子力を学ぶ学生間では原子力発電への期待が大きい。

 2012年のエネルギー分担率予測
  2002年 2012年 増減
原子力  31% → 41.3% +12.1%
火力  60% → 45% −15%
水力  9% → 9.8% +0.8%
新エネルギー  1%未満→ 2.1% +1.1%

5.

県内の原子力政策課題である「プルサーマル」「中間貯蔵」については、比較的には容認姿勢。本県出身者は、県外出身者に比べて「プルサーマル」は比較的に容認だが、「中間貯蔵」については約4割がわからない

 

 県内における原子力政策の課題である「プルサーマル」については、「早急に導入すべき」が43.1%と最も高いが、「原子力発電所の信頼が回復されてから」も31.4%みられる。しかし、プルサーマルそのものの導入については「他県の状況をみてから」や「当面導入しなくてよい」などの消極的意見は少ない。
  また、もう一つの「中間貯蔵」については、「わからない」が28.8%あるが、「県内の原子力発電所の安定運転のためにも必要」は55.8%と過半数を超えた。
  出身地別にみると、「プルサーマル」に関しては、福井県出身者の50%が「早急に導入すべき」と答えており、県外出身者と比べて8.8ポイント高くなっている。一方、「原子力発電所の信頼が回復されてから」という回答については、県外出身者が35.3%と本県出身者より16.5%高くなっており、慎重な姿勢を示している。
  中間貯蔵の問題については、本県出身者では、「県内に必要」「県外でよい」「わからない」がほぼ同数であるが、県外出身者は67.5%が「安定運転のためにも県内に必要」と答えており、出身地別で差がみられた。

6.

県の重要政策であり、原子力を活用した地域活性化である「エネルギー研究開発拠点化計画」については、今後期待される学生にはまだ十分に周知されていない。

 

今後の拠点化計画で中核的を担うことが期待される学生であるが、「よく知っている」は僅か5.8%、「少し知っている」は61.5%となっているが、「あまり知らない」「全く知らない」併せると32.6%となり、十分に周知されているとはいい難い。(但し、調査時点では推進組織は設置されていない)

         

 

7. 「エネルギー研究開発拠点化計画」では、「高速増殖炉研究開発センター」「大学における原子力エネルギー教育の強化」に期待
 

 「エネルギー研究開発拠点化計画」の中では「高速増殖炉研究開発センター」と「大学における原子力・エネルギー教育の強化」が各52.6%と期待が高い。
  大学別にみると、福井大学大学院では「大学における原子力・エネルギー教育の強化」が57.7%と最も高く、次いで「高速増殖炉研究開発センター」46.2%、「原子力発電所の資源を活用した新産業の創出」42.3%、「がん研究治療施設の整備」38.5%、「高経年化対策」「安全医療システムの整備」「小中高校における原子力・エネルギー教育の充実」が各30.8%となっている。福井工業大学では、「高速増殖炉研究開発センター」66.7%が最も高く、次いで「がん研究治療施設の整備」「大学における原子力エネルギー教育の強化」「原子力発電所の資源を活用した新産業の創出」が各41.7%となっており、学校により若干の順位差がみられた。

8.

県内の原子力関連施設の見学や利用についてはこれから

   県内には多くの原子力関連施設が立地しており、教育面での有効利用も期待されているが、大学生等の見学や利用はまだ低い。

 見学率の高い順位
  1位

28.8%  もんじゅ

  2位 9.2%  美浜原子力PR館、日本原子力発電敦賀原子力館
  3位 17.3%  若狭湾エネルギー研究センター、関西電力美浜発電所
 種別毎の見学者率(1館あたりの見学者割合)
 

原子力発電PR館    9.9%
商業炉(発電所)    10%
研究施設(もんじゅ含) 8.9%


9. 卒業後の進路については、電力関連分野で電力会社への就職希望が多いが、幅広い分野での活躍を期待。就職先としては、県内出身者の77%、県外出身者の22%が福井県内を希望
 

 卒業後の進路については、電力関連分野が36%と高いが、その他の分野20%、情報関連分野16%、医療関連分野12%と広範であり、就職会社についてもそれぞれの希望分野に適合した会社等を選択している。
  学校別にみると、福井大学大学院では、「電力関連分野」32.4%、「情報関連分野」21.6%、「その他」16.2%「電気関連分野」「医療関連分野」13.5%と広範であるが、福井工業大学では「電力分野」46.2%、「その他」30.8%、「放射線利用分野」15.4%となっている。

 

 

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