先生のためのセミナーレポート


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時: 平成23年11月24日( 木) 14:00 〜 17:00
場  所: 福井商工会議所ビル 地下コンベンションホール他
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
後  援: 福井県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
公益財団法人 原子力安全研究協会
■総合講評
 

京都教育大学教育学部 教授    山下 宏文 氏

プロフィール:

1982年 東京学芸大学大学院教育学研究科修了。
東京都の公立小学校教諭、京都教育大学教育学部助教授、等を経て2002年より現職。
専門分野は環境教育、社会科教育。
日本エネルギー環境教育学会副会長、日本教材学会常任理事、他。
2003年より福井県環境・エネルギー懇話会の専門委員会である環境・エネルギー教育問題懇談会の座長。

(要旨)

 第12回エネルギー・環境教育セミナーに、多くの方々にご参加いただきましてありがたく思います。このセミナーを12回続けてきたことは、それだけでも非常に意味のあることです。それが福井県で開催されていることについて、敬意を表したいと思っています。

 今回のセミナーでは放射線について詳しく取り上げました。なぜエネルギー・環境教育で放射線なのか。中学校の「理科」の中に放射線が扱われるようになりました。今日の清原先生のお話をお伺いしましても、それがどこで扱われているのかに注目したいと思います。科学技術と人間の中のエネルギー、そしてエネルギー資源で放射線についても触れています。結局は、そこに原子力発電、原子力が入っているのだと思います。エネルギー問題の上には、持続可能な「社会」があります。従って、放射線の扱いは、エネルギーの問題、あるいは原子力の問題と切り離して考えることができません。そこに結びついていくことを意識する必要があるのではないでしょうか。

 また、社会でも放射線のことが非常に大きな話題となっています。なぜ、社会で放射線が話題になっているかといえば、福島の原子力発電所の事故を通してです。今回の事故によって、放射線がどのような影響を及ぼしているのか、どのような形で出ているのかといったこともきちんととらえておく必要があるのだろうと思います。そのことは、原子力発電をきちんととらえていくことに結びつきます。原子力発電をきちんととらえるためには、まさにきちんと知ることです。今後のエネルギーをどうするのかは、単に国が決めればいい、あるいは専門家が決めればいいことではなくて、私たち国民一人一人が選択していくべきものです。であるならば、教育において、子どもたちが明日のエネルギーを選択するために必要な認識をきちんと養う必要があります。決して原子力を扱うことが原子力を推進すること、原子力をもっと理解させることであってはならないと思っています。

 例えば、スウェーデンはエネルギーの教育について非常に熱心な国です。それは、1979年のアメリカスリーマイル島の原子力発電所事故を契機としています。翌年の1980年にスウェーデンは国民投票で原子力を今後やめることを決定しました。当時、スウェーデンには12基の原子力発電所が稼動していたのですが、今日に至るまでに2基は実際に止めました。残り10基は稼動しています。その後、スウェーデンではもっと教育できちんとするべきだと、原子力のことなども極めて詳しい扱いをしました。その立場は原子力をやめるとか推進するということではなくて、国民が選択していく上で必要なものをきちんと教育で提供していく立場でした。

 ところで、数年前にスウェーデンは「脱原子力」の政策を改めました。建て直すにしても、10基分についてはこれからも続けていくというように転換しました。スウェーデンが今回の福島の事故を受けてどうするのかと実は注目しているのですが、今のところスウェーデンは基本的に政策は変えないということで進んでいるようです。いずれにしても、事故があったからこそ、教育の中できちんと扱っていくことを進めていくべきだろうと思っています。

 今回のセミナーで先生方のグループの発表を聞いて、私の申し上げたようなことが先生方にきちんと徹底できているということで安心しました。ぜひ、原子力発電所のある福井県が、その教育を進めていく上で見本を示していただければありがたいと思います。また、今後ともセミナーを継続していきたいと思っていますので、これからのご参加を期待したいと思います。

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