先生のためのセミナーレポート


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時: 平成22年11月25日(木) 14:00〜17:00
場  所: 福井県生活学習館「ユー・アイふくい」多目的ホール 他
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
後  援: 文部科学省、福井県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
中部・北陸・近畿地区エネルギー教育推進会議
(財)日本生産性本部・エネルギー環境教育情報センター
■エネルギー・環境教育実践事例発表

テーマ

「進化する長四プラン」
発 表:

長岡第四小学校(京都府長岡京市)    教諭  吉岡  学 氏

(要旨) 

 長岡京市は、京都市の西側に位置します。長畝小学校のように出掛けていく自然もなく、住宅地に囲まれたどこにでもあるような学校です。本校がエネルギー環境教育に取り組み始めたのは、平成20年度に、それを公約にした市長が当選されて長岡京市のすべての小中学校の普通教室にエアコンが入ったからです。そのときに、教育長から、エアコンを付けたからエネルギー環境教育をしなさいというお達しが来ました。職員たちには最初抵抗もありましたが、その抵抗感が見事に崩れたのが今年の猛暑です。

1.京都府の「ことばの力育成プロジェクト」の研究指定校となる

 長岡第四小学校は、エネルギー環境教育の指定校の指定を受ける前から、本校の重点研究の目標として、「まとめ、伝え、高め合う児童の育成をめざして」という研究をしてきました。そして、平成21年度、京都府教育委員会が始められた「ことばの力の育成プログラム」の研究指定校になり、「プレゼンテーション能力の育成を通して」というお題をいただいています。これは幼小連携のプログラムで、私立とはなかなか連携を取りにくいのですが、公立の幼稚園に「聴く力」「話す力」を育てていきましょう。うちの学校では3年生・4年生で10分程度のプレゼンテーションができる力をつけましょう。そして、高学年から中学校1年生ぐらいまでには、800字程度の随筆が書けるようにしよう。そして、中学校の2・3年で1200字程度の小論文が書けるようにし、高校生では実社会で活用できる力を育てていくというプログラムです。さらに、学校内以外でも、もっと家庭での読書量を増やしましょう、図書館教育を充実させましょうということも含めて、「ことばの力育成プロジェクト」という名前で取り組んでいるところです。

2.本校の環境教育(平成21年度エネルギー・環境教育実践校最優秀賞受賞)

 そして同時に、経済産業省資源エネルギー庁主催のエネルギー・環境教育実践校に平成20年、21年、22年度指定されたわけです。それで、指定を受けた初年度である昨年度は、まず雨水タンクを買って、子供たちが散水に使えるようにし、樋を付けて、ずっと物置小屋になっていた温室で野菜の苗を育て、花の種をまいて発芽させるということを1年間やってきました。また、その横にビオトープや田んぼも造り、その下にあったひび割れしていた池も修理して、一連の水の流れを造ったのです。この雨水タンクには600l入りますが、それを水道代に直すと300円となります。学校は水道を広い口径で入れますので、水道代が高いのだそうです。すなわち、タンク1.6杯で電気1kW/h強が節約していけるということが一つです。
 もう一つ、地域のグリーンカーテンネットワークというものを行っています。グリーンカーテンの苗を温室で発芽させて、それを地域に配ります。ただし、その代わりにメールのアドレスと自分たちが育てたグリーンカーテンを写メールで私のパソコンに送ってくださいとお願いします。ゴーヤやヒョウタンの苗も差し上げたのですが、一番人気があったのは、やはり食べられるインゲンマメでした。
 うちの特色としては、地元のNPOとの連携、あるいは地元企業、関西電力との連携、あるいは、うちの地域で「放課後すくすく教室」と呼ぶ放課後子育てプランとの連携を図っていることがあります。もう一つ、本校は畑が結構広いので、その畑で学年やボランティアの子供たちと一緒に野菜を育ててきました。それを給食で使います。長岡京市では10校とも全部自校炊飯ですので、朝取れた野菜をそのまま給食室の調理員に渡しにいくのです。だから、大変新鮮で、しかもフードマイレージや輸送にかかる経費、エネルギーが一切かからないという利点があるわけです。その辺を計算して、子供たちや保護者、地域の方に提示しています
  例えば、平成20年度は食材が357kg取れました。学校給食会のレートで換算しますと16万5033円になります。そして、本来の産地からの学校までの輸送距離からフードマイレージを換算しますと18.237tkm。その輸送距離を燃費6kmの中型トラックで換算したところ、CO2が約3046g節約できたという計算になります。これが平成21年度はぐーんと上がり、総額30万円を超える野菜が取れ、CO2も大幅に減らしました。平成22年度は1学期までのデータしか出ていませんが、今のところ7万ちょっとで、栄養士さんによると、2学期は今まで8万円ぐらいの給食代が浮いているということです。
 このような結果、平成21年度、本校はエネルギー・環境教育賞の最優秀校として50万円頂いています。

3.地域や中学校との連携

 地域との連携では、今、長四校区地域コミュニティー協議会を立ち上げ、校長、教頭とともに、教務主任である私も評議員という形でそこに入らせていただいています。コミュニティー協議会とは、希薄になってきた地域のつながりを深め、校区の課題を地域の力で解決していく地域力を高めていく目的で作られたもので、一番のポイントは緊急時、災害時の対策です。それで、昨年度、エネルギー・環境教育賞の最優秀校として頂いた50万円のうちの20万円で耕運機を買い、残りで、子供たちの活動の様子を見ていただくために廊下に設置するフォトフレームを買いました。また、このフォトフレームの電源のために、ソーラーパネルを設置して、インバーターを通してバッテリーに充電して、電流計、電圧計を置いて、児童がどれだけ電気がたまっているかが目で見えるようになっています。足りないお金は地域の方の寄付で賄い、設置工事も全部していただきました。また、電気会社に勤めていた方のお世話で、今度、太陽光発電の街灯を高知県の方から取り寄せていただけることになっています。
 また、隣にある長岡第四中学も今年から実践校指定を受けたことから、家庭科の先生の出前授業をしてもらおうと、骨が折れた傘の布の部分を切り取って、防水エコバッグを作るという教材開発を実施しているところです。

4.総合的な学習の時間を軸にしたカリキュラムへの位置付け

 実践校の指定が終わると、エネルギー環境教育ができなくなっていくという話をよく聞きます。私としてはそれを避けたいという思いで、当初から実践校指定がなくなった4年目に焦点を当てて、環境教育をカリキュラムに位置付ける作業をしてきました。
  低学年は、太陽の温かさや風を利用した体験が中心となります。3年生は、昔の炭火アイロンと今の電気アイロン、昔の蚊帳と今の網戸や蚊取り機、昔の足踏みミシンと今の電動ミシンをエネルギーの視点から比較してみる授業を行っています。
  また、4年生になると、電気エネルギーに焦点を当てて学習しています。この間も、大阪の南港の発電所にバスツアーで見学に行きました。また、関西電力の出前授業や東京の方からの省エネ出前授業を受けて、「電気博士になろう」を合い言葉にプレゼンテーションの準備をしているところです。
  5年生は地産地消とエネルギー問題がテーマになります。6年生は、歴史学習の中でどんなエネルギー教育ができるのかと頭を悩ませたのですが、江戸時代と現代のごみ処理の違いを取り扱うことにしました。
  今、6年生は、エネルギーについて勉強したことを伝えるのに、プレゼンテーションでの表現方法を工夫しているところです。一つは、京都らしく狂言の太郎冠者と次郎冠者の掛け合いの中で何か伝えられていけないか。もう一つが、落語のエネ落語を作ろうというところで、この間、原稿を頂いています。
  1月26日には、そのエネ狂言とエネ落語のほか、児童がプレゼンテーションを発表する予定ですので、皆さんにも見にきていただけたらありがたいと思っています。

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