先生のためのセミナーレポート


テーマ: エネルギー・環境教育セミナー
開催日時: 平成22年11月25日(木) 14:00〜17:00
場  所: 福井県生活学習館「ユー・アイふくい」多目的ホール 他
主  催: 経済産業省資源エネルギー庁
後  援: 文部科学省、福井県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
中部・北陸・近畿地区エネルギー教育推進会議
(財)日本生産性本部・エネルギー環境教育情報センター
■エネルギー・環境教育実践事例発表

テーマ

「連携を活かしたエネルギー教育の実践」
発 表:

長畝小学校(福井県坂井市)        教諭 多田 敏明 氏

(要旨)

1.長畝小学校の紹介

 長畝(のうね)小学校は、坂井市の東部、近くに丸岡城がある歴史的にも古い地区に位置しています。児童数は約390名、学級数は14学級の中規模校です。学校近くには味岡山という里山があります。また、地域には夏にはホタルが飛び交う五味川、竹田川などが流れており、自然に恵まれた地域でもあります。今年から隣の竹田地区も校区に含まれて、より一層校区は広がっています。
 こうした自然環境を生かして、今まで環境教育に取り組んできました。例えば、味岡山の自然観察、地区の用水路での川の生き物調査、それから、毎年夏に行われるホタル観察会、地区の人を呼んでの竹田川の学習、中庭を生かしてのグリーンカーテン活動などを行ってきました。

2.エネルギー教育トライアル校として

 昨年、エネルギー教育トライアル校に認定され、エネルギー教育についても少しずつ取り組み始めています。ただ、他校のように実績もなく、経験者もいませんので、できるところから始めようと考えました。そこで考えたのが、この三つの視点です。一つ目は、教科、総合的な学習の内容に結び付けた実践、二つ目は、既存の児童会活動や学校行事などを利用したもの、それから、家庭や地域、企業などと連携した取り組みです。

@教科での連携

 教科での連携では、理科と食育の連携を行いました。6年生の理科「人のからだとつくり」の単元で、食べ物の消化と吸収について学習します。その発展的な授業として、吸収された栄養分の行方とその働きについて、教科担任と栄養教諭がTTで具体的に指導しました。まず、子供たちは、唾液によってでんぷんが変化することを実験で確かめます。その後、栄養教諭から消化されたでんぷんなど養分の働きについて説明を聞きました。この学習から食べ物にもエネルギーが含まれていることがイメージできたと思います。

A自治体との連携

 自治体との連携については、5年生の社会「自動車工業」の中で、地元の坂井市と連携して、「電気自動車と環境」の授業を行いました。市役所の担当の方から電気自動車の仕組みや市の環境に対する取り組みを聞き、一人ずつ子供たちも順番に電気自動車に試乗させてもらうこともできました。

B企業との連携

 企業との連携では、4年生の理科「熱のつたわりかた」の単元の中で、金属の熱の伝わり方について学習します。その発展的な学習として、金属からの熱を逃がさない工夫を考えようという授業を企画しました。その中で、魔法瓶製造会社の技術者の方に来ていただいて、ステンレスボトルなど生活用品の仕組みについて説明をしていただきました。
 まず、子供たちは、お湯が入ったスチール缶の熱を逃がさない工夫を班ごとに考えます。スチール缶にお湯を入れて、ラップで包む、アルミ箔で包む、タオルで包むなど、子供たち独特のアイデアがいろいろ出てきました。そして、その効果を実際に実験で確かめます。普通のスチール缶と工夫したスチール缶の温度変化を比べました。そうすると、子供なりにも考えた方法で保温効果があることが確認できました。さらに、もっと保温効果のあるマグボトルについて企業の方に説明をしていただきました。

C教育機関との連携

 昨年は、教育機関との連携で、福井県教育研究所の研究員の方と共同で授業を企画しました。3年生の理科「風とゴムの力」では、大型扇風機を用意していただき、その風を利用して台車に乗った子供たちを動かすことで風の大きさを感じ取るという授業を実践しました。同じように、6年生も大型扇風機を利用して授業を行い、班ごとで話し合わせ、帆を制作し、効率よく風を利用する方法を考えさせました。

D他校種との連携

 今年度行った連携では、他校種との連携ということで、市内にある春江工業高等学校の生徒たちと交流しました。4年生の理科「電気のはたらき」でソーラーカーを学習しますが、模型自動車のソーラーカーが実際に走る様子を見せてもらったり、また自作の電気自動車に試乗させてもらうことで、電気エネルギーの大きさを体感できたのではないかと思っています。

EPTA行事との連携

 長畝地区では、「のうね郷まつり」というお祭りがありますが、それに向けて毎年、エコキャンドル作戦を行っています。昨年までは高学年が行っていましたが、今年は2年生のPTA行事「親子ふれあい事業」の活動として行いました。給食で出された廃油を使ってキャンドルを作り、各自が作ったキャンドルをお祭りの日に点灯し、地域のイベントを盛り上げることができました。

F地域との連携:長畝科学塾

 最後は、地域との連携ということで、毎年夏休みに行っている長畝科学塾を紹介します。これは実験教室ですが、昨年からエコ、エネルギーについて実験教室を行いました。外部講師を依頼したり、本校の職員が参加したりして、子供たちを対象にエネルギーを利用した物づくりを行っています。風を利用した模型自動車、蒸気を利用した蒸気船などを作り、その遊びをとおしてエネルギーの存在を感じ取らせることができたと思います。

3.児童の意識の変容と今後の課題

 昨年の6年生35名にアンケートを取りました。「エネルギーという言葉からどんなものをイメージしますか」という質問に対して、実践前の5年生のときは、「力・パワー」「電気」などといった抽象的な答えが多かったように思います。昨年、実践後は、それに比べて「栄養・食べ物」「石油・燃料」などの身近なものにイメージを広げる児童が増えてきたように思います。もちろん、この結果は今回の実践だけが原因ではありませんが、これらの取り組みも大きく影響しているものと考えています。
 本校のエネルギー教育はスタートしたばかりです。本格的に実践を進めていくためには課題も多いと思われます。今後、学年間の系統的な取り組みを目指して、年間指導計画を作成するなど、さらに継続していきたいと思っています。また、児童だけでなく職員全体の意識向上も図っていきたいと思っております。

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