先生のためのセミナーレポート


テーマ: 環境・エネルギー教育セミナー
開催日時: 平成18年11月15日(水) 14:00〜17:00
場  所: 福井商工会議所ビル「コンベンションホール」(福井市)
主  催: 中部経済産業局 電力・ガス事業北陸支局
後  援: 福井県教育委員会、石川県教育委員会、富山県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会

実践講座

テーマ: 「電気のしくみを知る手作り実験」
講 師: 財団法人 電力中央研究所 知的財産センター 
    技術移転グループ   上席   吉光 司 氏
講師プロフィール: 1982年、(財)電力中央研究所に入所。
配電計画、お客様ネットワーク、電力有効利用支援システムの研究などに従事。
2000年より過去の研究成果を生かし、広報関係、教育支援活動(総合学習の教育支援、実験教材開発、技術講座企画)など実施。
また、エネルギー教育コーディネーターとして出前授業を実施中。
(要旨)
 1.電気のしくみを知る実験
  最初に一つ実験をやってみたいと思います。ここにパイプが2本あります。ちゃんと穴が開いていますね。パチンコの玉を2個、このパイプに同時に入れてみます。見えました? もう一回やってみましょう。
  こちらのほうが随分ゆっくり落ちますね。これはなぜか分かる人、いらっしゃいますか? これは普通のパイプです。ヒントを言うと、こちらはアルミニウムのパイプ、もう一つは普通のビニールのパイプです。もう少しヒントを言うと、実は、パチンコの玉と言いましたが、これはけっこう強い磁石です。1個1000円近くする磁石です。
  では、その仕組みをご紹介します。アルミニウムのパイプに磁石をストンと入れると、渦電流という電気が流れるのです。この電気が流れたことによって磁界ができる。その磁界が持ち上げる力を働かせる。ですから、磁石はゆっくり落ちていったということです。実は、この仕組みはエレベーターのブレーキや新幹線のブレーキに利用されています。
  次は雷です。この話をするときに、いつも私は子供たちに電池は何Vか知っていますかと質問します。大体1.5Vと答えてくれますが、家庭のコンセントに来ている電気が何Vかという質問には小学生ではなかなか答えてくれません。中学生では3分の1ぐらいが100Vだと答えてくれます。では、皆さん、雷は何Vだと思いますか。答えは大体200万〜2億V。家庭のコンセントに来ている電気の2万〜200万倍です。
  では、1か月に電気はどれぐらい使いますかと質問したら、答えられる先生はいらっしゃいますか?では、聞き方を変えましょう。1か月の電気代は大体幾らぐらいですか?全国の世帯の平均で約300kWh、大体6000円ぐらいです。子供さんがいて夫婦ですと、普通、500kWh。約1万円です。
  ということで、大きな雷を1発捕まえてそれをためられれば、1か月は電気代がただです。ただし、現在は、それを捕まえる技術もそれを貯めておく技術もまだ開発されていません。ですから、「皆さんが大きくなって、高校で物理を勉強して大学で工学部に行って、これを発明したら一生遊んで暮らせるよ」と言うと、目が丸くなる場合もあります。
  いつも雷で実験をしています。これは電球です。よく見てください。私の手に放電しているのが分かりますか? 手に汗をかいているとちょっとビリッときます。すると、雷は電気だなというのが実感できると思います。これはライターの使い終わったものの圧電素子、パチッっという所ですが、それを取り出したものです。また、この電球は100円ショップで買ったので、原価は120円ぐらいで作ることができます。
  次は静電気の実験です。これは帯電列表と言いますが、物はこするとプラス側に寄るか、マイナス側に寄るかという性質を持っています。皆さん、ウールのセーターを着て、その上にフリースのジャケットを着ますね。これは最高の組み合わせです。これがこすれて体に1万ボルトの電気がたまっているのです。こういうものを着ると乾燥しているときにはかなりバチッときます。ですから、ナイロンのシャツの上にウールを着る、シルクとフリースを組み合わせたほうが静電気は防げます。静電気は悪者扱いをされていますが、静電気がないと困るのは、食品用のラップです。あれは静電気の力でくっついているのです。
  今までは自然の電気の話をしてきました。では「電気というのはどうやって作るの?」という話をするのですが。確か、中学校2年ぐらいの『理科1下』の中に電磁誘導という言葉が出てくると思います。ここにエナメル線を1000回巻いて、その先に発行ダイオードを2個つけてあります。中にかなり強烈な磁石が入っています。ネオジウムという磁石ですが、これを振る。電気ができているのが分かりますか? これが電磁誘導です。電気を作る原理です。
  これは、だれが発見したかというと、1831年、ファラデーという人が発見したのですね。この現象は中学で習うのですが、高校の物理でも同じ現象を難しい式で習います。大学の電気工学科に電磁学を習っても、さらに難しい式で教わるだけで、現象はすべてこれです。磁界中にあるコイルを動かすとそこに電流が流れるというのですが、その磁界中というのは、さあ何だろうとということで、磁界を目で見ようということで作ったのがこれです。ある液体の中に砂鉄が入っています。これに磁石をポコッと入れると、磁界ができているのが見えますか。磁石が作る磁界のイメージが分かる実験です。これを振るのは、フレミングの右手の法則ですね。

2.電気はどうやって作っているのか
  皆さんが使っている電気の99.6〜99.7%は水力発電、火力発電、原子力発電の三つで作られています。そのうち火力で大体60%電気ができていますが、火力発電で使う石炭を今の小学生、中学生は見たことがありませんので、実物をいつも持っていっています。それから、石油と言っても、先にジェット燃料や軽油、ガソリンなど、使いやすいところを取り除いた重油。こういう黒いものです。それから天然ガス。そういうものを燃やして、お湯を沸かします。そして蒸気を作って、その蒸気の力でタービンを回して、それにつながっている発電機を回して電気を作る、これが火力発電の仕組みです。今、ガスでお湯を沸かしています。もう少しするとお湯が沸きます。すると、蒸気の力でここにあるタービンが回って発電機が回ります。すると、ここについている電気が発光します。
  火力が多いということは何が問題かというと、石炭、石油、天然ガスというのは化石燃料と呼ばれています。石油は、今、世界中で見つかっている量を今と同じように使い続けると、あと41年でなくなってしまうと言われています。これは、けっこう小学生、中学生はきついですね。
  「みんな50になって石油がなくなったら何が困る?」と質問します。今、石油でなければどうしても役に立たないものが一つだけあります。何だと思いますか?飛行機の燃料です。ジェット燃料です。飛行機は、今は石油でなければ飛ばないのです。だから、小学生と中学生に「40年後、国外出張を命じられたらどうする?」という話をします。
  今、40年と言いましたが、私が大学の時も「あと40年」と言われていました。結局、今まだ見つかっていない石油もありますし、今の技術では使えない石油もだんだん使えるようになってくる。しかし、いつかは必ずなくなってしまうものですね。ですから、そういう化石燃料を大事にしようという話をしています。
  それから、地球が暖まってくるという問題です。石炭、石油、天然ガスを燃やすと二酸化炭素が出る。「2050年、真夏日100日」という新聞記事を見せます。これが本当ならすごいですね。これはヒマラヤです。1978年と1998年。だいぶ氷河が減っています。というように、地球が温暖化するとこういうことが起きるということを話しています。
  では、二酸化炭素を出さない発電方式はないのかということで、まず、太陽電池です。これも実験道具はあります。それから、風力発電があります。では、もし化石燃料を使わずにみんなの電気を賄おうとするとどうなるかということで、水力発電は約10%です。太陽光発電は5%と書いてありますが、これは全国の家庭の屋根に全部太陽電池を張る、学校の屋上にも全部張ったとしても、今使っている電気の5%しかできないという答えが出ています。それから風力発電ですが、日本は位置的なものがあって、風力発電にはあまり適している場所が少ないようで、1%。それから、ごみを燃やして火力発電のような発電をする。これが約3%ですね。原子力発電は35%。あと46%はどうしよう。みんなで話し合って考えてみてくださいということでこの話をしています。
  今まで電気を作るという話をしてきましたが、次の電気を使うという話に行く前に、今、中学校で「直流と交流」というのはなくなってしまったのですね。しかし、直流と交流というのは実際にあるので、それはどういうものかという話をする実験を一つご紹介します。
  これには発光ダイオードが2個ついています。赤い端子をプラスにつなぐと、電池は直流ですから、青いのが光っているのが分かります。逆に赤い端子をマイナスに、青い端子をプラスにつなぐと赤い発光ダイオードが光ります。では、これをみんなの家庭に来ているコンセントにつないだらどういうふうに光ると思いますか?北陸電力は60Hz。1秒間に60回、プラスになったりマイナスになったりしています。だから、この青と赤が交互に60回光るはずです。青と赤が1秒間に60回、交互に光っているのが分かりますか?ですから、家庭のコンセントに来ている電気は交流です。電池の電気は直流ですから、ずっとプラスならプラス、マイナスならマイナスのままだということが分かります。

3.電気はどのように使われているか
  電気というのは電気をそのまま使っているのではないのですね。電気は必ず何かの形に変えて使っています。
  一つは、光。照明です。光に変えている。それから、回転するエネルギーに変えている。例えば洗濯機、電車もそうですね。それから熱、ストーブやホットカーペットのように熱に変えて使っている。それから、パソコンや通信など電子に変えて使っている。大きく分けてこの四つです。
  まず、電気を光に変えている実験ですが、ここにシャープペンシルの芯があります。この芯に5Vの電圧を加えます。これは、スライダックと言って電圧を落とすものです。発光しているのが分かりますね。5Vで今5A流れています。燃え尽きました。これは、空気中に酸素があるから燃え尽きたのだということです。
  これが1879年にエジソンが発明した電球の仕組みです。エジソンは、当時、最初は木綿の糸を炭化してフィラメントにしました。その翌年に京都の竹を炭にしてフィラメントを作りました。ここでは、先ほど5Vかけて5Aと言いました。25W、電球のワットの概念が勉強できることと、電圧と電流から抵抗を求める。オームの法則も関連して勉強することができるのではないかと思います。
  次に、これは何だと思いますか?直径30cm。まん丸のものです。信号機です。全国の信号機の台数、車両用が110万基、歩行者用が85万基あるそうです。今までは70Wの電球を使っていました。これは発光ダイオードですね。これは192粒あります。192粒×20mA×3.6V。大体14Wぐらいに減ります。全国の信号機を全部発光ダイオードに変えると、1年間で原油を21万kl削減できるそうです。つまり、25mプールで約700杯分の原油が節約できるということです。それから、二酸化炭素の排出量は、年間28万4000t削減できるそうです。これは7500万本の木を植えたのと同じだけのCO2の削減効果があると言われています。

4.いろいろな実験
  次に、電気を回転するエネルギーに変える実験です。これは簡単にできます。ここにモーターがあります。消しゴムの上にクリップを立ててエナメル線を5回巻いただけです。
  あと、光ファイバーの仕組みですが、これは電気を光に変えて光を通信に使っている原理です。この下には発光ダイオードが入っています。釣り糸の先端が光っているのは分かりますか?光というのは基本的にまっすぐにしか飛びません。これを通信に利用するには、家庭の中やビルの中に入れるために曲がった所に入れなければいけません。そのために開発されたのが光ファイバーです。釣り糸で光が伝わる仕組みを勉強しようというものを作ってみました。いちばん下に発光ダイオードが入っています。
  炊飯器の電気はどのように使われているか測ってみました。「始めちょろちょろ、中ぱっぱ」と今の炊飯器はそうなっていますね。ここからここまでの面積がご飯を炊くために使った電気エネルギーです。ご飯が炊き終わってもゼロにはなっていませんね。これは、保温をするエネルギーです。この面積を計算すると、大体平均で200W×30分。だから、100Whです。1時間保温すると20Wh、5時間保温すると100Whで、ご飯を炊くのと同じです。
  今、トップランナー方式と言って、省エネ達成基準というものがあります。家電製品を買うときに、こういう絵がいっぱいついているシールが張られているものがあります。例えば、2.8kWのエアコンですが、省エネ達成率が122%のものが大体11万8000円だそうです。消費達成基準55%。これは5万5000円ですね。大体6万円の差があります。年間の消費電力は900kWhと1800kWh。年間の電気代が2万円と4万円。最初6万円差がありますが、電気代で言うと2万円だそうです。3年使うと6万円ですが、エアコンを3年で買い換える人はあまりいませんね。
  最後に、皆さんが小学生、中学生で、皆さんの孫やひ孫の代まで化石燃料を保たせるためにはどうしたらいいか。それから、地球が暖まるのを防ぐにはどうしたらいいか。これは皆さん一人ひとりが考えて、行動に移すことが大事ではないかという話をしておしまいにしています。今日のお話が皆さんの授業で役に立っていただければ幸いです。

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