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先生のためのセミナーレポート

 

 

テーマ: 環境・エネルギー教育セミナー
 〜エネルギー教育を考えよう!!〜
開催日時: 平成17年11月24日(木) 13:30〜16:40
場  所: 福井商工会議所ビル「コンベンションホール」(福井市)
主  催: 中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局
後  援: 福井県教育委員会、石川県教育委員会、富山県教育委員会
主  管: 福井県環境・エネルギー懇話会
内容:
■基調講演
テーマ: 「エネルギー・環境の問題、教育の意義と課題」
講 師: 財)電力中央研究所 
    広報グループマネージャー 中岡 章 氏

(要旨)
 エネルギーと環境の問題には答えがなく、それがほかの教科の学習と比べて授業をするうえで非常に難しいところではないかと思う。エネルギーや環境をどうとらえて、どうわたしたちの生活の中で考えていかなければいけないのかについて、今日、皆様がたに何かお役に立つ中身を資料として作り、お話をさせていただこうと思う。
 わたしたちの生活を考えてみると、エネルギーを使っているという意識がほとんどなく、空気のようなものであると考えられる。その中でエネルギー問題を真剣に考えることは難しく、また、日本にいて外国のことを一緒に考えることができるかというと、自分の生活から脱することはなかなかできない状況にある。難しいながらもエネルギー・環境問題について、子供たち、親御さんたちにもご理解いただくことが重要ではないかと思っている。
 それに関する教材として、電力会社、役所、各機関からいろいろな本が出ているが、その前にもっと一般的なことを分かりたいと考えたときに役に立つ、いろいろな情報がある。例を挙げると、『世界がもし100人の村だったら』『地球家族』『国民生活白書』『エネルギー・経済統計要覧』などの書籍、各機関で出している資料や、ほかにも生活の中でわたしたちそれぞれが持ついろいろな疑問にも、エネルギー・環境のことを考える大きな材料がある。要は、この情報をどう使うか、そこで何を理解するかが重要。

 世界のエネルギー消費は今後どうなるか、エネルギー資源はいつまであるのか、京都議定書は地球温暖化をとめられるのか、地球温暖化をどうすれば防げるか。こういったところに、意外とわたしたちの知らない常識・非常識があるのではないかと思う。
 GDPとエネルギー消費の関係を見ると、GDPの高い国ほどエネルギーをたくさん使っている、エネルギーをたくさん使えばGDPが高くなるという関係にある。どれぐらい増えていくかというと、いろいろな予測がありますが、わたしどもの研究所のかなり控えめな予測でも、あと200年たつと2.5倍ぐらいになってしまうと見ている。その理由は二つあって、一つは世界の人口が増えるから、もう一つは中国、インド、アジアの国々が経済発展していくために一人当たりの消費量が増えるからである。
 今、世界で使われているエネルギー資源は何かということも、意外と知られていません。実は世界じゅうで使っているエネルギー資源の90%が化石燃料(石炭、石油、天然ガス)。原子力や水力は、それぞれ6%程度にすぎない。
 先ほどの世界のエネルギー需要予測に、石油、天然ガス、石炭の可採埋蔵量と、さらに地球上にあるとされる未確認の化石燃料資源量を入れてみると、かなり控えめな予測でも2200年ごろには足りなくなってしまうというのが現実。予測だから誤差はあるかもしれないが、いずれなくなる。
 ここで重要なのは、人類の何万年、何十万年という歴史の中で、化石燃料を使い始めたのはワットが蒸気機関を発明したという産業革命で、1800年ごろ。そして、それをたくさん使うようになって人間は非常に豊かになり、どこにでも行けるようになり、労働から解放され、機械がそれに代わってくれるようになって、現在200年が過ぎ、あと200年たつと、もう化石燃料はなくなってしまう。こういう中にわたしたちがいて、それをじゃぶじゃぶ使っているのだから、エネルギー・環境問題を考えることは至難の業で、これがない状況など考えられない。それだけわたしたちは、化石燃料に依存しているといえる。
 しかし、たった400年の化石燃料に依存する時代によって、人類が終わってしまってはいけない。先の人類につなげていくのが、わたしたちの使命。よく「持続的発展」という言葉が使われましたが、持続的発展どころか、衰退しない、滅亡しないようにするにはどうしたらいいかということをわたしたちは真剣に考えなければいけない。
 一方、化石燃料を燃やすと、当然、二酸化炭素が出てくる。産業革命以前と以後を比べると、産業革命以前は、煮炊や暖房には植物、今でいうバイオマス燃料を使っていた。枯れた木や落ち葉を集めてきて燃やしても二酸化炭素は出てくるが、出てきた二酸化炭素は大気中にばらまかれ、それを吸うことによって植物が育ち、またそれが枯れると燃料に使うという形で、産業革命以前の暮らしは、今でいう循環型社会だった。
 究極の話として、化石燃料というエネルギー資源を使って二酸化炭素を排出していることが、人類を滅亡させる原因になっているということ。それでは大変だと、十数年前から化石燃料を使うことによる地球温暖化の問題が議論されるようになり、京都会議が開かれた。そして、EU主導で、EUは8%、アメリカは7%、日本は6%、先進国平均で5%という削減枠を決めた。
 では、この京都会議で決められたことを守れば、地球温暖化は止まるのか。ここに常識・非常識という話が出てくる。この2月に、ロシアも含めて約束の55%を超え、アメリカやオーストラリアは賛成してくれなかったが、京都議定書は発効された。そして、クールビズだ、ウォームビズだ、チーム・マイナス6%だと、日本は削減に一生懸命だが、ここで京都議定書の削減枠の意味を理解する必要がある。
 世界が何も対応しなかった場合、京都議定書がなかった場合、2070年ごろには大気中の二酸化炭素は600ppmになり、平均気温は5〜6度上がってしまうと予測されている。ただ、アメリカやオーストラリアも含めて、先進国平均5%を守ったとしても、実は600ppmになるのが10年ぐらい遅れるだけ。つまり、日本人が6%削減したからといって、地球温暖化は止まるものではない。
 では、京都会議とは何だったのかというと、地球温暖化に向かう原因は化石燃料を使った人たちだから、そのたくさん使ってきた人たちが、まず第一歩を踏み出そう、そして、いずれこの地球温暖化をくい止められるように努力しようということでしかない。だから、京都会議のあとにあるポスト京都議定書やフェーズ2と呼ばれているもので何をみんなで約束するのか、いかに脱化石燃料、省エネを進めるかが重要な話題になってくる。

 そこで、日本人の生活が豊かであればよいのか、この50年間のエネルギー消費は何のためだったのか、地球温暖化が心配される中で国民の意識は今どうなっているのか、お金があれば何でもしていいのか、環境にやさしい新たなエネルギー資源はあるのかという話になる。
 化石燃料から脱出するために、何が化石燃料以外で使えるかというと、実は電気。電気は、わたしたち使うときに電気であればいいのであって、石油でも、石炭でも、原子力でも、水力でも、太陽光でも、何でできようが違いはない。そういう意味では、電気はほかのエネルギーに転換しやすいものである。幸いなことに、高齢化とともに、スイッチ一つで使えて炎がない電気のほうが安全だということもあって、エネルギー消費の中の電気が占める割合はどんどん増えてきている。
 その電気に対して、現在30%を少し超えるぐらい原子力が使われており、化石燃料は55%と、日本全体のエネルギー消費に比べると、石油は少ないといえる。水力は10%です。この化石燃料の部分を減らすことができるのかということを考えてみる。
 例えば、石炭火力でできた電気は、1kWh使うと976グラム、約1キログラムの二酸化炭素が出てくる。石油はその4分の3、天然ガスはその半分。それに比べて、太陽や風力、原子力などは物を燃やさないので、二酸化炭素は出てこない。では、こういう方向に変えていけばいいのだというイメージを持てばいい。
 自然のエネルギーは輸入ではない。これを国内に最大限置くと、どれぐらい日本の電気を賄えるのかという計算をした。水力は現在10%の電力を賄ってくれているので、このまま置く。太陽電池パネルを日本じゅうの家や土手、道路の遮音壁などに張ると、景観はだいぶ悪くなると思うが、5%は賄えそう。風力は1〜2%、ごみ発電で3%と計算された。
 この20%の電気で生活をしようというのも一つの方法だし、残りの80%に新たなエネルギー資源を求めていくのも一つの方法かと思うが、エネルギー資源はなかなか見つかるものではない。

 エネルギー・環境問題の解決の主人公は生活者。だれが何のためにエネルギーを使っているか、環境に負荷をかけているのはだれなのかと考えていくと、企業や国、地方というよりも、わたしたちのわがまま、豊かさを求める姿、わたしたちの暮らしそのものだということが分かる。ですから、わたしたちが主人公になって、問題解決の道を開かなければいけないとわたしは思う。
 そこで、わたしたちが使っているエネルギーをよく見直してみると、「直接エネルギー」とは、わたしたちが自分の意志でスイッチを入れ、自分の意志で使っているもの。例えば、自動車に乗るとか、暖房の設定温度を22〜23度にするとか、おふろに続けて入るかどうかも自分の意志。だから、電気をこまめに消す、コンセントを元から抜く、テレビをつけっぱなしにしない、おふろは順番に入るというのも、省エネルギー上とても重要なこと。そして、どの乗り物を選ぶかも非常に重要。もちろん鉄道やバスのほうがエネルギー消費は少ないが、例えば自家用車でも3人乗ればバスと同じ、8人乗れば鉄道と一緒なので、それも一つの方法である。
 もう一つ、わたしたちが直接エネルギーを減らす方法は、今、国で進めている「トップランナー」。今いちばんの省エネ機器がトップランナーで、例えば冷蔵庫のトップランナー、エアコンのトップランナーなどという。家の中でいちばんエネルギーが使われているのは、暖房、給湯、厨房、冷蔵庫、照明ですので、これを節約することが大事。
 もう一つ忘れてはいけないのが、間接エネルギー。衣食住でエネルギーがたくさん使われているが、特に外食産業になると、自分の家ではエネルギーを使わないが、その店に到着するまでと、店の中でエネルギーが使われていて、それが全部間接エネルギーになる。だから、食べ物や洋服、器具などを大事にすることで間接エネルギーを減らせる。例えば食べ物でいうと、実はわたしたちは、外国から食べ物を輸入し、なおかつ、その28%捨ててしまっている。外食産業が増えれば増えるほど、これは増えてくる。直接・間接の比率は今ほぼ半々ですが、最近、間接分がどんどん増えてきている。
 古いものを後生大事に使うのが必ずしもいいことではないが、そういう中で「もったいない」というキーワードでものをよく考えて生活をしていくという気持ちが、地球を救い人類を救うことになる。
 今、わたしたちは豊かな生活をしてきたつけとして、子供たちにしっかりとエネルギー・環境のことを伝えなければならないし、また、今まで忘れていた教育をしなければいけないのではないかと思っている。


環境・エネルギー教育実践校事例発表

テーマ: 教科・総合的な学習時間における
 「だれでもできるエネルギー学習のカリキュラムづくり」
発表者: 小浜市立遠敷小学校  教諭 木橋 直樹 氏

テーマ: 実社会を生かす実践的な「環境・エネルギー」学習
発表者: 富山大学人間発達科学部附属中学校 教諭 田中 広光 氏
        〃          教諭 山田 智子 氏

テーブル討議とクロストーク

 参加者によるテーブル討議後、クロストークを行なった。クロストークでは、テーブル討議の結果を踏まえて各テーブルの代表者から質問、意見を発表していただき、それにクロストーク出演者が答える形で進められた。

コーディネーター:

京都教育大学 教授 山下 宏文 氏
パネラー: (財)電力中央研究所 
    広報グループマネージャー   中岡  章 氏
小浜市立遠敷小学校        教諭 木橋 直樹 氏
富山大学人間発達科学部附属中学校 教諭 田中 広光 氏

 

 

 

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