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先生のためのセミナーレポート

 

 

テーマ: 総合的な学習における環境・エネルギー教育セミナー
開催日時: 平成14年12月5日(木)12:30〜17:00
場所: 福井商工会議所ビル コンベンションホール(福井市)
主催: 中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局
後援: 福井県教育委員会、石川県教育委員会、富山県教育委員会、福井市教育委員会、福井県中学校長会、福井県小学校長会
主管: 福井県環境・エネルギー懇話会
内容:
 進行:松木 健一氏(福井大学教育地域科学部助教授)


実践校発表

   
テーマ: 「エネルギー・環境の問題、教育の意義と課題」
 −身近な自然エネルギーに関心をもつ子どもの育成−
講 師:  富山県高岡市立定塚小学校 教諭 中島 美恵子氏

テーマ: 「環境家計簿を使った資源・エネルギー学習」
 −CO2からみえてくる地球の未来−
講 師:  京都府長岡京市立長岡第三小学校 教諭 平岡 信之氏

テーマ: 「河川学習を中心とした環境教育の実践」
 −多摩川の環境:自然環境と人間の関わり 過去・現在・未来−
講 師:  神奈川県川崎市立西高津中学校 教諭 市川 城次氏

テーマ: 「人と環境」
 −自分たちの身の回りの環境について調べよう・考えよう−
講 師:  福井県鯖江市鯖江中学校 教諭 宮川 真一氏

 

■講演
  
テーマ: 環境とエネルギー教育
講 師:  東京大学原子力研究総合センター助教授 小佐古 敏荘氏

(要旨)
 21世紀は「3Eの時代」といわれている。「エンバイロンメント(環境)」「エコノミー」「エネルギー」という3つが組み合わさって走っていく時代といわれている。私たちも、社会の中でエコノミー、経済活動が進展しないままで、社会をどうするという議論はむなしいということになる。すでに私たちの社会は大変難しい経済状態に入ってきて、高校生のうちの3分の1から半分ぐらいが就職がないというようなところに突入してきている。エネルギーとかエコノミーと調和をとって、環境というものを考えないといけない。どれを欠いても世間はうまく回らない。
学校の教育の中で何が起こっているか。エネルギーと環境をどういう情報源から得ているかという中学生の意識調査をやったが、テレビ、ラジオというのが圧倒的に多い。そのテレビ、ラジオが、必ずしもきちんとした情報を出しているわけではない。
日本の教育は、エネルギーの問題、人口の問題、食料の問題、あるいはセキュリティ、自分の国の安全をどうやって守るかという問題はあまりまじめに議論されているとは思えない。
私たちの社会は問題を抱えているが、いろいろな人の努力といろいろな人の工夫によって、人口を維持し、環境を守り、エネルギーを上手に開発して、ある程度の豊かな生活を維持しながら頑張っていくというのがあるべき教育だし、あるべき姿だと思っている。

 

テーマ: 「総合的な学習のカリキュラム開発と評価」
      −環境・エネルギー学習の可能性−
講 師:  岐阜大学教育学部教授 北 俊夫氏

(要旨)
 学校の取り組み状況もずいぶん前進し、その中からまた新しい課題も生まれているので、大きなキーワード3つでお話したい。1つは、総合的な学習のカリキュラムの問題。そのカリキュラムに基づいて指導する中で、子どもの状況がどうだったかという子どもの学習状況の評価の問題。そして、今回このセミナーの大きなテーマである環境・エネルギーにかかわる学習である。

 大きなキーワードの1つ目は、なぜ総合的な学習のカリキュラム開発が必要なのか。その背景、趣旨などを3つの視点でお話したい。

 1つ目の視点に、今各学校で作成、あるいは実践、実施されている年間の単元構成は、学年ごとに普通は作られるが、これを次のような視点から少しチェックをしてみたらどうか。3つのチェックポイントがある。チェックポイントの1つ目は、単元の実践の時期の適時性が維持されているか。適時性という場合、さらに3つ具体的なポイントがある。1つ目は、季節性という視点。具体的には、例えばその学校で地域にある小川にホタルを呼び戻そうという環境にかかわる学習が計画されているとすれば、それは年間をとおしていつの時期がいいのかということ。2つ目は行事性という視点。特に地域の伝統や芸能を取り上げた場合に、何々囃子というような取り組みが実際に見られる時期の方がより子どもは意欲的にかかわることがでる。したがって、行事性という視点から、その単元の時期が一番適切かどうか。3つ目は、教科との関連。教科の実践の時期と総合的な学習の実践の時期に工夫を加えた方が、より子どもに学習効果が高められる

 2つ目の視点は、段階性というキーワード。子どもが徐々に力をつけるように、力というは、例えば社会に対する見方や考え方、今回のテーマでは環境やエネルギーに対する理解認識、かかわり方といったものが徐々に高まっていくように、あるいは子どもの視野が徐々に広がっていくように工夫されているかどうか。

 3つ目の視点は、単元の大きさ。どういう大きさがそれぞれの学年に応じていいのかどうかも考えていく必要があるのではないか。

 なぜカリキュラム開発かということの2つ目。総合的な学習の単元構成には、次のような特質がある。それは、教科と基本的な違いがあり、総合的な学習で取り上げられる単元、いわゆるメニューはいろいろ変わるということ。例えば、環境というテーマで学習を行う場合、同学年のクラスによってホタルやサケといった取り組みの対象が異なるなど、環境という視点では同じであるが、取り組む材料が違う。また、同じ5年生なのに、去年行った5年生のメニューと今年行った5年生のメニューが違うことが起こるのも、総合的な学習である。なぜならば、地域を対象にして学習するから、地域に変化、変貌が生じれば同じメニューが取り上げられない。もう1つの特質は、学校によっては例えば6年生の3学期や中学校3年生の段階になると、学級全体で1つのテーマに向かってそれぞれ学習していくというスタイルから、1人1研究の自由研究のような、総合的な学習を計画している学校もある。このように、同じ学年でも、学級によって違ってきたり、年度によって変わったり、あるいは学級の中でもそれぞれ個々の違いがすごく強調されてくるのが、教科とは違った総合的な学習の特質だと思う。そのときに保護者の方にどう説明するか。あるいはその担任の先生が単元の目標設定をするときに、何を根拠に、何をよりどころに目標を設定し、何を根拠に教材や活動を作ればいいのか。その部分が実は必要なのではないかと思っている。それがカリキュラム。

 なぜカリキュラム開発かということの3つ目。1つは、年間単元構成に見る特質、変動するということ。もう1つは、よりどころとなるものが作られていない。作られていないというのは国から示されていないということから、指導要領にあたるような基準、スタンダードを学校ごとに作っておくことが今求められているのではないか。比喩的にいうと、それはメニューを作ることではなくて、メニューは変わるので、メニューをとおしてどんな栄養(スコープ)やカロリー(シークエンス)を子どもにつけるか。この部分を学校でしっかり作っておくことが求められるのではないかと思う。

 大きなキーワードの2つ目は、総合的な学習の評価についての基本。具体的には3つくらい。その1つは、子どもの学習状況を評価するときに、あらかじめ設定した目標があるが、その目標に照らして、一人一人の子どもにどう実現しているか、ちゃんと身についているかどうかを見極めるということ(絶対評価)。総合的な学習の評価を考えるうえでの2つ目は、総合的な学習だからといって何か特別な方法で子どもを評価しなければならないということではない。基本的には教科と全く同じ(観点別評価)。3つ目は、教科の場合と基本的な違いがある。子どもの学習状況を量的に評価しない(個人内評価)。

 大きなキーワードの3つ目は、学校における環境・エネルギー学習の基本。まず1点目、この環境・エネルギーという学習をそれぞれの学校で進めていくときに基本的に押さえておきたいことは、何といっても、これらの環境やエネルギーといった問題については、多様な考えや考え方があるのだということ。この多様性というものを子どもにきちっと伝え、その中で、公正かつ多面的、多角的にとらえる力、あるいはその態度を育成する。ここを大事にしたいと思う。多様な考えや考え方があることを知らせる中で、公正に判断する。そして物事を多面的、多角的にとらえる。そういう力や態度を育てていきたいと思う。2つ目は、そのためにも、何といっても事実を丹念にとらえる、事実を確かに理解する事実認識。そのうえで、科学的合理的に考えることを重視して、決して風評に流されないようにすること。流されないことが大事だということに身につけること。3点目は、エネルギーあるいは環境といった問題は地球規模の課題だが、きわめて最も身近な自分の問題だということ。したがって、例えば部屋を出るときに電気のスイッチを消して出るか、消さないまま出るか。それはまさに、その人のライフスタイルそのものに直結する厳しさがある。地球規模の課題であると同時に、きわめて個人、一人一人の自分の問題だということ。こういうことも子どもに指導していきたい基本的な考えの1つである。

 

 

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